キックフリップ KICK FLIP

キックフリップ KICK FLIP

結論から書きます。キックフリップはオーリーです。

 

 

少し噛み砕きます。

 

跳び上がってから着地するまで、オーリーと全く同じ動きをしながら、前足だけ蹴り抜く動作を足す。そのレベルでできるようになるまで練習する。乱暴に言うとそういうことじゃないかと。

 

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たぶん、あらゆるトリックHowToの中で一番求められているんじゃないかってくらい、キックフリップは高い壁。検索すればこれでもかとHowToが出てくる。でもどれを読んで繰り返しやってみても永遠にできる気がしない。ほんと挫けそうになる…。

…正直いうと、僕もメイク率はいまいちなんです。でも、少しずつ乗れるようになってきた。以前は全くメイクできなかったのに。この進歩はすごく大きい。ここでは、僕が練習していく中で気づいたこと、他のHowToであまり触れられていないことを中心に、あれこれ書いてみたいと思います…

 

難しいところは2つ。ハマってしまうと全く先に進めなくなるんですよね…。

・蹴り抜いた前足が板より先に地面に着いてしまう
・両足で乗りに行けない

 

1つめは落とし穴、2つめは壁という感じでしょうか。落とし穴に落ちることなく(もしくは落ちた穴から這い出して)、片足キャッチができるようになって「から」がいちばん難しい。

その原因は、「キックフリップをしよう」「乗りに行こう」という意識。これはつまり、オーリーと全く別のトリックをしようとしていることだと思うんです。それが間違いだと気づけないままだと、もしかしたら一生メイクできないかもしれない。どの段階においても反復練習は大事。でも、それだけじゃ進めないトリックではないでしょうか。

 

では、順番に見ていきましょう。ひとまず止まったまま練習する前提です。

 

 

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前提条件

 

オーリーで組みコーン30cmが余裕で跳べること。50cm跳べるとなおよい。ノーズを突き出せる(刺しオーリーができる)とさらに◎です。

 

スタンス

キックフリップのスタンス

◎僕なりのスタンスです。最近は肩の開き方や蹴り抜く方向を改めて模索中。

これはよく言われている通りでいいと思う。僕の場合、オーリーのスタンスから、後ろ足は少しつま先側へずらして、微妙につま先がテールからはみ出るか出ないかあたり。前足は前の4つのビスのうち、後ろ2つをギリギリ踏むくらい。かかとを少し背中側に引いて、つま先を20〜30°ほどノーズ側へ向けてやる。つま先というか、膝も含めて前足全体に角度をつける感じ。オーリーよりは少し広め。

このスタンスをとると、両肩を結ぶラインが板と平行じゃなく少し斜めになって体が微妙に前を向きます。肩のラインと平行に擦っていけば、自然とノーズの横あたりを蹴り抜けるスタンスです。はじめは慣れないと思うけど、体が前後左右にぶれないように。

また、テール足の弾くポイントをつま先側にずらす理由ですが、ここを弾くと、板はつま先側が沈んでかかと側が上がります。ノーズのかかと側も同様に傾いて上がっているので、前足を蹴り抜くときにつま先に食いついて引っかかりやすくなるという理屈です。要は回転がかかりやすくなるということ(ヒールフリップは逆にテールの少しかかと側を弾くといいです)

 

まずは板をフリップさせる

 

 

このへんは誰でも最初に取りかかると思う。前述のスタンスから、はじめは板をよけるために少し背中側に跳び上がりつつ、テールを「オーリー同様」しっかり弾き、膝を擦り足より前に突き出しながら、つま先付近でオーリーのように擦り上げつつ、足首のスナップを効かせて進行方向やや背中側に水平に蹴り抜いて板をフリップさせる。両足は板を避けて背中側の地面に着地。

最初はろくに回りません。反復練習&試行錯誤です。頭を下げてデッキを覗きこまない(前屈みにならない)、頭や体をぶらさないなど、どのトリックにもいえることをもう一度確認してください。

 

前足のスナップ

 

膝をつま先より進行方向に突き出しながら擦り上げてから払うようにつま先を蹴り抜く、足首のタメからしっかりスナップを利かせるなど、いろいろ試してみる段階。

スナップがうまくできない人は、足首に力が入ってしまっていることが多いです。力を抜いて足首を寝かせながら擦り上げ、抜く瞬間にだけ瞬発的に力を込めて素早く足首を返します。

蹴り抜くという動作自体が初めてだと思うので、そのための筋肉を鍛える時間でもある。どうしてもある程度の時間がかかります。少し大げさでもいいので、しっかりと進行方向に蹴り出すといいかも。オーリー同様、両肩の高さを揃えて地面と平行になるように。

別記事→【キックフリップ】蹴り抜きの動作

 

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落とし穴:板より先に前足が地面に着いちゃう人

 

下蹴り、下抜きと言われるやつになっちゃってます。絶対に下に蹴り抜かないこと。

たしかに下蹴りのほうが少ない力で簡単に回せるんだけど、板より先に前足が地面に着いちゃうから、次の段階の「前足キャッチ」が一生できない。練習しているうちにいつのまにか下蹴りになっていることが本当によくあります(自分がそうだった)。

スマホとかで自分の動きを撮ってみるのが一番。できる人と比べて、蹴り抜く方向や抜いたあとの足の位置が間違ってないか確認。

あと、下蹴りする人って、ぜんぜんテールが弾けてないことが多い。テールを弾く音が、オーリーと同じかどうかも確認を。下蹴りは弱い弾きでもそれなりにきれいに回るから、自分は回せていると勘違いしちゃうんです。

 

 

この癖を直すためには、一旦これまでの回し方を捨てることです。そして、蹴り抜いたときに、前足がノーズより20〜30センチくらい進行方向先にあるようにする。それくらい勢いよく蹴り出すこと。

新しい蹴り抜き方に変えるため、まったく回せなくなると思うけど、1から練習し直す気持ちで臨んでください。ちゃんと抜けるようになれば、前足が板より先に地面に着くことはないと思います。

キックフリップの前足/蹴り抜き

+追記

ジャンプ&擦り上げのピークに達してから蹴り抜くのでは遅いです。上の動画がそうなんだけど、下降しながらの蹴り抜きになってしまい、そのせいで前足が地面に直行してしまう。

そうではなく、ジャンプで上昇している間に蹴り抜き終わってしまうこと。そうすることでジャンプのピークでキャッチすることができます。

 

 

 

きれいにフリップ回転するパワーバランス

 

キックフリップ/体の下で板を回す

テールを弾くときに働く「下にかかる力」と、ノーズを蹴り抜くときに働く「前向きの力」、この2つの力のバランスが釣り合うようになったときに、板が空中で水平になりながら、体の真下できれいに回ります。

板が前に飛んでいく人は大抵テールの弾きが弱いか、蹴り抜きがまだ未熟。後ろに飛んでいく人は前足の蹴り抜きが弱いか、極端な引き叩きになっているか。物理の授業みたいですが。

 

 

前足キャッチの練習

 

きれいに板を回せるようになってきたら、前足キャッチの練習。正面に蹴り抜いた足を素早く板の上に戻す。このときもテールの弾きを疎かにしないこと。

繰り返しますが、下蹴りorジャンプのピークに達してから抜いている人は前足が地面に直行しちゃうので、直さない限り一生後ろ足キャッチしかできません。

 

後ろ足キャッチの練習

 

前足が乗せられるようになったら次は後ろ足だけでキャッチ。実際にメイクするときは後ろ足からキャッチすることになるので、イメージトレーニングしながら。自分がしっかり跳んで、テールをしっかり弾いて、前足は前方へ蹴り出している体勢を意識。

後ろ足キャッチのあと、4つのウィールと前足が同時に地面に着くような感じになればいいと思います。どうしても前足が先に着いちゃう場合、体の軸をほんの少しテール側に傾けて、後ろ足重心気味の着地を狙うといいかもしれません。

 

◎前足キャッチから練習するか後ろ足からにするかは意見が分かれるところ。もともと後ろ足からキャッチするトリックなので、後ろ足からというのが本来の順番かもしれません。
ただ、正しい蹴り抜き方を覚えられないまま後ろ足キャッチしかできない状態(前述の「落とし穴」)で長い間苦しんだ自分としては、前足キャッチを先に覚えることで、正しい蹴り抜きの動作を体に覚えさせたいかなと思います。

 

 

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手すりなどに掴まって両足キャッチの練習

 

 

上半身の動きや跳び上がるための力や体重を手すりにサポートしてもらうことで、足の動きだけに集中できます。痛い思いもするけど、これまでの練習を思い出しながら繰り返し動作を叩き込む。体が覚えてくれば、なにも考えずに両足キャッチができるようになってきます。乗れた瞬間の悦びは結構すごいです。

 

片手だけ掴まって両足キャッチの練習

 

前の段階では両手で掴まって練習していたと思う。次は右手だけ、左手だけ掴まった状態で両足を乗せられるようにやってみてください。支えが半分しかなくなり、急に難しくなります。

両手で掴まって練習することと何もないところで練習することの間には本来とんでもない壁があるんだけど、この練習を間に挟むことで、次の段階への壁は随分低くなると思います。

 

2つ目の壁:両足でキャッチ

 

掴まってメイクできるようになっても、何もないところで両足キャッチするのは全く感覚が違っていて、ここで足止めを食らっている人がとても多いと思う。掴まって練習する前までは、板を避けて背中側に跳び続けていたから、その条件で回したり片足キャッチする動作が体に染み込んでしまっている。

気合いとか勇気が足りないとか、実際怖がっているという要因は確かにあるけど、要は、体の真下に板がある状態でフリップさせるという動作を、これから体に覚えさせていくことになるため、大変な苦労をします。意識としては「メイクまであと一歩」ではなく「ここからが本番」と思ったほうが、気も楽になります。

 

ここで、ページ冒頭に書いたこと。

これまで必死に「キックフリップ」の練習をしてきたけど、頭をオーリーに切り替えます。組みコーンを余裕で越えられるくらいまで体に染みついたオーリーの動作に、前足の蹴り抜きを付け足すという意識にしてください。

これで「板に乗りに行く」のではなく、自然と「体の下に板がある」カタチができあがります。キックフリップはあくまでもオーリーなんですよ。ここまでたくさん書いてきて一番言いたかったのは、この1点かもしれません。

 

乗りにいけない現象というのは結局のところ、跳び上がる方向の問題なんだと思います。板を避けるために無意識に背中側に跳ぶクセがついている。もしくは前足に意識が行きすぎることで体の軸がブレて、テール側に傾いて跳んでいる。

もし自覚していたとしても容易に直せるものでもない。そこでオーリーを意識することを提案しているわけです。オーリーは確実に真上に跳び上がる。体の真下に板がある。フリップに挑戦するレベルの人であれば、ある程度きれいなオーリーができると思うので。

 

さらに、前足の蹴り抜きの動きって、【前提条件】で少し書いた「刺しオーリー」の動きに近いと思います。できる人は参考にしてください。

▼ 刺しオーリーのイメージ

キックフリップ/刺しオーリーのイメージ

 

▲ 裏乗りの練習もおすすめです◎

 

 

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その他

 

自分の場合、空中で回転している板が、十分に引き上げているはずの後ろ足に当たるということがよくあって。当たりさえしなければきれいに回るのに…という状態。ずっと原因がわからなかったんだけど、自分自身が高く跳び上がれていないせいだと判明。シンプルに体の下に十分な空間がなかった。前足に意識が行きすぎていたのと、板の回転にビビって高く跳べていなかった。

かといってむりやり高く跳ぼう、思いっきりテールを弾こう、だと全体の動作が崩れてしまう。必要なのは、ジャンプする際、全身が真上に伸び上がって、板の上にかかっていた自分の体重がほぼ抜けきってから、テールを弾くこと →【オーリーetc】自分が先に跳ぶ

要は体が伸び上がる前にテールを弾いてた。前述した通り、ちゃんとオーリーと同じ動きができていなかったということで。はじめはたしかに怖いけど、練習するうちに板が後ろ足に当たらなくなり、きれいに回るようになってきました。

 

 

written by @Takkks.

 

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この記事も参考になるかもしれません。

【オーリーetc】両足で跳んでる?
エアキャッチとかいうやつ

ノーズを擦り上げる前に、テールを弾く前に、ちゃんと自分が跳び上がっているか?という話。高いフリップやエアキャッチなんかもこのへんが関係してくるのではないかと思います。